2012年12月31日月曜日

お正月花-お手伝い

石川龍先生のお正月花のいけこみをお手伝いさせていただきました。

ホテルニューオータニ(紀尾井町)の宴会場階です。
本日12月31日から1月14日まで飾っています

花材は、松、苔梅、椿、ぼけ、胡蝶蘭です。

        
        ◆正面から



           ◆右側





水引は力強く「横綱結び」です。


           ◆左側





作業風景です。
大きな松や苔梅・・・、ところ狭しと搬入されています。





みなさま、佳いお年をお迎えくださいませ。
新しい年も、よろしくお願いいたします。


2012年12月30日日曜日

私の花(4-20)


「私の花」というテーマです。
テキストには、
「私の花」とは、花を見つめ、自分を見つめて、
これからどんな花をいけていきたいのか・・・
自分に問いかけていける、というテーマです。
となっています。

テキストでの学習を終えるにあたり、
このテーマがもうけられています。

さて、Nさんの作品です。

花材は「つばき」「あおもじ」です。

Nさんは花型法をいけている頃から、
積極的に撓めることをしていました。
そこで、花材を枝もののみにしてみました。

あおもじとつばきを左右に分けて構成しています。


 ◆正面から

つばきは撓めることができる花材です。
青もじはあまり撓めることのできない花材です。

花材の特性を知って、いかす、ことが大切です。

     
中に一文字を入れて、器の左側を空けています。

つばきは枝を撓め、葉を整理して、躍動感あります。


◆つばき(椿)[ツバキ科]


薮椿/ヤブツバキです。
素朴な印象が大好きです。
北限は青森だそうです。・・・北海道には咲かないのですね。


           
まん丸の実はつぼみです。
可愛らしいですね。
親戚の黒文字/クロモジは、お茶席でお菓子と一緒に出される爪楊枝
に使われます。よい香りがするからです。
青文字も枝を折るとレモンのような香りがします。

2012年12月24日月曜日

クリスマスの花

キリストの誕生を祝うクリスマス。
世界中の人々がさまざまな装飾を施し、この日を祝います。

クリスマスを象徴する花材を取り入れたり、
伝統的なクリスマスカラーを組み合わせたり、
ツリーやリースを型どったり・・・。

★花材
もみ、ひいらぎ、やどりぎ、松ぼっくり、ひば、さんきらい、ポインセチアなど

★カラー
☆白 純粋、喜び、真実、祝賀・・・キリストの出現を象徴するそうです。
☆赤 犠牲、愛、受難・・・聖なる精神を象徴するそうです。
☆緑 希望、生命、未来、不屈を意味するそうです。


さて、Sさんの作品です。

クリスマスを象徴する白、赤、緑のカラーで構成しています。
器も純白を選択しました。

横長に構成し、真っ白いかすみ草をふっくらと丸くまとめて配しています。


 ◆正面から



◆ひいらぎ(柊)[モクセイ科]


斑入りです!
濃い緑一色のものに比べると、やさしく明るい印象です。
葉先のトゲはしっかりあります

キリスト誕生の場面を描いた多くの絵画に、トゲの多い葉が描かれ、
キリストの将来の受難を暗示しているそうです。


◆ばら(薔薇)[バラ科]


           

深紅です。
ひいらぎの緑、かすみ草の白との取合せで、
厳かな印象をもちました。


◆かすみそう(霞草)[ナデシコ科]


純白の花をたっぷりと付けています。
可憐で清潔な感じがします。

いけている間にも、つぼみが弾けて開いてきました。
 ◆さんきらい(山帰来)[ユリ科]


丸い赤い実はドライフラワーの状態になっても、
つやつやとしたままで縮むこともありません。
カクカクした茎はつる状なので、丸めることも可能です。

リースでも、いけばなでも、
クリスマスの装飾に大活躍してくれます。

◆からたち(枸橘)[ミカン科]



鋭いトゲが特徴です。
白く晒し、ドライフラワーになっています。



2012年12月7日金曜日

生の植物と異質素材(4-11)


異質素材を生の植物と合せて、作品を構成します。


植物以外の素材を異質素材といいます。
植物以外の素材であれば、異質素材に制限はありません。


さて、Sさんの作品です。

花材は「とくさ」「ばら」です。
異質素材は毎日お世話になっているティッシュペーパーです。
花器は、飛出し感が強調されるように、
中央が低くなっているものを選択しました。


 ◆正面から

ティッシュペーパーをどう使うか・・・(−−;)
丸めてみたり、一度丸めて広げてみたり、
裂いてみたり、結んでみたり、こよりのようにしてみたり・・・。
相当、そうと〜う悩んだ結果!
重なっている2枚を離して1枚にすると透け感が出る事に気づきました!
四隅をこよりにして留め、植物に被せました。
ティッシュペーパーから除く植物の見え方に苦心していました(^^)
 

◆とくさ(木賊)[トクサ科]


今回のものは140〜150cm近くある長いものでした。
渦巻き状にして構成する事を迷いなく決めたようです。

◆ばら(薔薇)[バラ科]


濃い赤に白が混じっています。
花びらもたっぷりと渦巻いていて、とてもゴージャスな印象です。

◆ドラセナ<ブラックタイ>[リュウゼツラン科]


大きく黒に近い色をもつ葉です。
今回は使用しない事を選択しました。


2012年12月3日月曜日

つるもの(4-6)

つる性の植物をいかした構成をします。

いけばなではつる性の植物を「つるもの」といいます。
ゴツゴツとした太い部分、くるくるとバネのように巻いている部分・・・、
つるものならではの線のおもしろさを最大限に引き出して構成します。

さて、Nさんの作品です。

花材は「ぶどうのつる」「せっかんすぎ」「なでしこ」「スプレー菊」です。
ぶどうのつるは、小さなコブがあったり、枝分かれしていたり、
バネのようにくるくる巻いている部分もあります。
乾燥具合からなのか、撓めるとパキパキと音がしますが、
自在に線を創り出すことができます。

ぶどうのつるを撓め、ゆったりと前面に膨らみのある構成をしています。
つるの動きがよりいきるように、高さを抑えいます。
口の細い器を選択しているので、低い位置に花を配することには苦労したようです。


 ◆正面から


器にも絡み付くように構成されています。


◆ぶとうのつる(葡萄の蔓)[ぶどう科]


日本には野生のぶどう「やまぶどう」があります。
ところで、日本でのぶどう栽培はいつからか・・・?
諸説あってはっきりしないそうですが、
江戸時代には甲州種の栽培の記録があり、
明治期にヨーロッパ種が、大正期にはアメリカ種や雑種が入り、
以降広く全国で栽培されるようになったようです。

◆せっかんすぎ(雪冠杉)[スギ科]



先端部分(新芽)が黄白色のため、
雪が被っているように見えることから命名されています。
「こがねすぎ/黄金杉」とも呼ばれるそうです。


◆なでしこ(撫子)[ナデシコ科]


秋の七草に数えられます。
同じ科のカーネーションと比べると、
花は華奢で可憐な印象、葉もやわらかです。


◆スプレー菊



鮮やかな蛍光グリーンです。
今回のナデシコとは色の相性が良いように感じました。




2012年12月2日日曜日

野菜・くだものをいける(4-10)


野菜やくだものも「植物」です。

いつもは食材としてなじみのある野菜やくだものを、
花や枝ものなど花材と同じととらえて、「おもしろい」をひきだします。

テーマは、野菜やくだものだけでいけても、
花材を加えてもよいとなっています。

さて、Sさんの作品です。

Sさんは、スーパーで最初に目に留まった「ピーマン」の緑色と形状に
「おもしろい」を感じたそうです。
そこで、緑色が引き立つガラスの花器を選択し、
「キウイ」は中の緑色を見せるように使ったそうです。
「いぼた」も実だけを集めています。

ピーマンといぼたがおもしろい関係をつくっています。
やなぎの曲線と金魚草の曲がりもおもしろく引き合っています。


 ◆正面から


 ◆野菜・くだもの


◆ねこやなぎ(ねこ柳)[ヤナギ科]


花材では、今の状態のものを「あかめやなぎ/赤芽柳」と呼びます。
この赤い皮をむくと、銀色に輝く花穂が出てきます。
銀色に輝いている状態のものを「ぎんめやなぎ/銀目柳」と呼びます。
しばらくすると、ふわふわとしたねこ毛のようになります。
その姿が猫の尾に見えることから「ねこやなぎ」と命名されたそうです。


◆おおばいぼた(大葉水蠟)[モクセイ科]



いけばなでは一般的にこの実を「ねずみもち」と読んでいます。
本来のねずみもちも同じいぼた属です。

きれいな緑の実がたわわについています。

◆きんぎょそう(金魚草)[ゴマノハグサ科]



ピンクとオレンジの花が一緒についていて、ちょっと不思議な色合いです。
つぼみの部分がふっくらとした実のようにも見えます。

2012年11月25日日曜日

剣山なしで水盤にいける(4-18)

剣山を使わずに水盤にいけます。

植物だけで自立させ、作品を構成します。
しっかりとした枝(茎)が3本あれば植物を立ち上げることはできます。
 足が3本あれば立つ・・・カメラの三脚がそうですね(^^)

作品の構成を考え、重心をコントロールします。

剣山を使用しないため、足元を隠す必要がありません。

さて、Nさんの作品です。

花材は「ぼけ」「ばら」です。

剣山がなくても「おもしろい」作品にしなくては!

「ぼけ」はもともとは真直ぐな印象の枝でした。
撓めたことで立てにくくなっているのですが、
水盤からの立ち上がりに面白味がでました。
「ばら」は葉を十分に整理して効果的です。

 ◆正面から

           
◆ぼけ(木瓜)[バラ科]


今回のものはサーモンピンクのようなやわらかい色で一重ですが、
もっと紅のもの、白いもの、八重、半八重のものもあります。

◆ばら(薔薇)[バラ科]


明るい黄色が葉の濃い緑でよく引き立っています。

花心の部分がハートに見えませんか?(^^)
          

2012年11月20日火曜日

実もの(4-7)

実のついている植物を「実もの」と呼びます。

秋は実ものが豊富な季節です。
山の木々も実をつけます。

食用となるような大きな実だけではなく、小さな実も稔っています。
うめもどき、むらさきしきぶ・・・。

実ものならでは魅力が引き立つように構成しましょう。

さて、Nさんの作品です。

花材は「うめもどき」「さんきらい」「やりげいとう」「てんもんどう」です。


うめもどきの上に向う広がりが伸びやかです。
てんもんどうとさんきらいのつるの部分が作り出している輪が、
作品にユーモラスな雰囲気をだしています。
下に向っているさんきらいもよく整理されています
           
 ◆正面から



うめもどき(梅擬)[モチノキ科]


光沢のある赤い実がとても美しい植物です。
庭木としても愛でられています。
「うめもどき」の名は、葉が梅の葉に似ているのでついたそうです。
葉がついている状態で出回ることが少ないため、
葉を見ることはできないかも・・。
ちなみに、梅は[バラ科]です。

枝は折れやすいので注意します。

           
◆さんきらい(山帰来)[ユリ科]


いけばなでは「さんきらい」と読んでいますが、
正式には「さるとりいばら」(猿採茨)で、日本に自生する植物です。
この季節に赤く色づいてきますから、クリスマスの装飾によく似合います。

6月頃は、緑の実が結婚式の装飾を彩っているのを目にします。


◆やりげいとう(槍鶏頭)[ヒユ科]


花序が細かく枝分かれし、鳥の羽のようにも見えます。
花をまとめて使用することで、作品に華やかさを添えてくれるようです。

◆てんもんどう(天門冬)[ユリ科]


「てんもんどう」の呼び名は中国名だそうです。
和名は「くさすぎかずら」、日本に自生している植物です。
葉のようすが杉の葉に似ていることから、その名がついたようです。
 ・・・確かに似ています。



2012年11月18日日曜日

単純化の極(4-8)

これ以上省略することができない、取り除くことができない、
という限界までとことん省き、
単純化してみることがテーマです。

さて、Sさんの作品です。

花材は「ぼけ」「きく」「ドラセナ」です。

用意されている花材の中からどれを使用するか・・・。
使用する花材選びも重要ですね!

花器は、水の波紋のような表情をもつガラス製を選択しました。

Sさんは、最初に3枚あるドラセナから1枚を選び、
すっくと挿しました。
ドラセナの波打っている葉から飛び出すように、
同色の菊を、葉を除いて合せています。
ぼけはよく撓めてあるので、短い一枝ですが勢いがあり、
とても力強い印象です。

 ◆正面から


 ◆左から
 
全体が前傾していることがわかります。

  
ぼけがしっかりと撓められています。
下の花材の写真とくらべると、どのくらい撓められたかがわかりますよ!


◆ぼけ(木瓜)[バラ科]


花数は多くはないですが、枝先に勢いのある花やつぼみがついています。
どこの部分を使うか・・・今日のテーマではとくに重要です。


◆きく(菊)[キク科]


蛍光グリーンの大きめの花は、細い花びらがくるっとカールしています。
サーモンピンクの中くらいの花は、半球状のポンポン咲きになっています。

Sさんはグリーンを選択しました。


◆ドラセナ[リュウゼツラン科]

花材として初めて見ました。
葉の色から、おそらく「ドラセナ・マッサンゲアナ」ではないかと・・・。
鉢物のからすると、葉が大きくしっかりとした厚みがあります。う〜ん(−−;)

しっかりとしている中にしなやかさもあり、とてもおもしろい花材だと思いました。

2012年11月13日火曜日

場面を想定して(4-19)

お祝い事や季節の行事の場を彩るために、必ずといってよいほど花を飾ります。
「だれかのため」「何かのため」に飾るいけばな。
場面を想定して、その場にふさわしい作品をいけます。

さて、Nさんの作品です。

花材は「ふうせんとうわた」「あかなす」「ダリア」「くじゃくそう」です。

Nさんは一児のパパ。
数年後に訪れる、愛する可愛いMちゃんの卒園式を想定していけました。

園から巣立つ子どもたちの、未来に向かって飛び立つようすが表れています。
子どもたちも楽しくなることでしょう。
Nさんの、Mちゃんの成長を喜び祝う気持ちが伝わります。
 ・・・その時になると、うれしくて泣いちゃうのかも(^^)

◆正面から(子ども目線)


ふうせんとうわた(風船唐綿)[ガガイモ科]


南アフリカ原産です。
日本には江戸時代の末に入ってきたそうですが、
初めて目にした人々は、不思議な実の形状に驚いたことでしょう。
葉は柳の葉に似ています。


 ◆あかなす(赤茄子)[ナス科]


今回の実は、まん丸ではなくかぼちゃのような線が入っています。
比較的かたまりで実がついています。

 ◆ダリア[キク科]


直径が10cm以上あります。
花びらは先にかけ薄い黄色からピンクに変化しています。
透明感があり、華やかな印象です。

今回想定した「卒園式の場」にふさわしいのではないでしょうか。


 ◆くじゃくそう(孔雀草)[キク科]



茎いっぱいに小さな花をつけます。
枝分かれした先端の花の下にも多数のつぼみがあります。
茎は細いのですが、ボリュームを出すことにも向いています。
白い花と葉の緑に清潔な印象をもちます。

ピンクや紫の花もあります。

 

2012年11月10日土曜日

実もの(4-7)

実のついている植物を「実もの」と呼びます。
秋は実ものが豊富な季節です。
栗、柿、りんご・・・、スーパーの果物売り場にも
さまざまな果実が並びます。
そのままいただくフルーツとしてはあまりなじみはないですが、
ざくろ、かりん、あけびなどの実も大きく稔ります。

実ものは、花や葉とは異なる魅力があります。
実ものならではの量感、形状や艶も魅力です。

「実もの」を使って作品をいけます。

さて、Sさんの作品です。

花材は「みかん」「ばらの実」「やりげいとう」です。

◆正面から


みかんが、上にむかうリズムをつくっています。
見え隠れする位置にあるみかんが、作品に厚みをもたせています。
残した葉も利いていますね。


◆みかん(蜜柑)[ミカン科]


今回のみかんは、食用で目にしているものよりやや小振りです。
新鮮で、実はつやがあり、葉も青々としています。
残念ながら葉は水揚げが悪いので、極力整理をして使用します。

みかんの仲間には、「ゆず」や「きんかん」、
サイズの大きな「なつみかん」「だいだい」などもあります。

ばらの実(薔薇)[バラ科]

のばらに比べると大きな実、一つ一つに存在感があります。
平らな球形をしています。
はまなすの実も同じ形状です。
・・・はまなすもバラ科だからですね。

 ◆やりげいとう(槍鶏頭)[ヒユ科]


花序が杉の葉のように細かく枝分かれしています。
鳥の羽のようにも見えます。
球状の花をもつ鶏冠鶏頭や久留米鶏頭と趣きが異なります。


◆おおばいぼた(大葉水蝋)[モクセイ科]


花材としては「ねずみもち」と読んでいます。
今回の実は若く緑色ですが、だんだんと黒くなります。

Sさんは、今回の作品には使用しないことを選択しました。