2012年6月29日金曜日

植物を編む(3-16)


今回のテーマは、『編む』と言う手法を使って植物を変容させます。
作品全体を編むことにより構成してもよいですし、
作品の中の一部に編む手法を取り入れたものでもよいとなっています。

さて、Sさんの作品です。

花材は、「アレカやし」「カンガルーポー」です。

編む手法はアレカやしに施されています。
2種類の異なる手法で編み上げたふたつのパーツを、作品内に構成しています。


           ◆正面から


大きな編み目のパーツは、すっくと立ち上がった姿がとてもおもしろいです。
細かい編み目のパーツは面的要素をもっています。
まったく異なる編み方をしているのに、不思議と違和感がありません。

カンガルーポーが、アレカやしのふたつのパーツを、
前から後ろに突き抜けるように入っています。



           ◆大きな編み目のパーツ


お〜っ魚!
この角度だと、イワナの炉端焼きを連想・・・。(^^;



アレカやし(アレカ椰子)[ヤシ科]

この大きな葉が3枚ありました。

1枚はお魚に変身!
後の2枚は、片側を落として菱形の面に変身です。

          ◆カンガルーポー[ハエモドルム科]


以前、Nさんが「花ものでいける(4-1)」で濃いピンクのモノを使用しましたが、
今回は黄色です。
花が小さく茎も細いので、絡ませると編んでるようにも見えますね。


          ◆花器(陶器)


長方形ですが、一辺が25cmと29.5cmです。
正方形に近い印象です。


2012年6月28日木曜日

でかいんです!

先日、ママになったT子さんから栗まんじゅうをいただきました。








とぉ〜っても、でかいんです!


その名も「大栗まんじゅう」です。

ポテトチップスの袋と並べても負けてない・・・さすがに負けますが、
存在感は絶大です!



お皿に載せてもこのとおり〜。
ちなみにお皿の直径は14cm強あります。




俳優のえなりかずきくんが以前にテレビで紹介したこともあるそうです。

世田谷区にある和菓子屋さん「青柳」の自慢の一品のようです。




割ってみました。
おいしそうでしょう〜〜〜。

うふ。


おいしかったです。当然!
中に大きな栗も入ってましたよ!


さすがに一度ではたべきれず・・・。
午前のおやつは牛乳と。
午後のおやつはコーヒーと。
〆はお酒のお供でいただきました。


しあわせな一日でした。






2012年6月26日火曜日

自由花(枇杷と)

Aさんの作品です。

花材は、
「びわ」「ひまわり」「ニューサイラン」「アスパラガス・スプレンゲリ」です。


 ◆正面から
        
下の写真も正面からのものです。
さて、上の写真と下の写真の違うところはどこでしょう???

右端と左端近くの葉を一枚ずつ取り除きました。
葉っぱ2枚ですが、印象が変わりました。
上の状態のときは面の印象が強かったのですが、
葉っぱを2枚除いた後は、花器から枇杷の実につながる縦の印象が強くなりました。

どっちが好きかなぁ・・・。

 ◆正面から



◆びわ(枇杷)[バラ科]
大きくて濃い緑の葉とゴツゴツとした枝振りが魅力です。
実は高級フルーツ!
店先ではよく実ったオレンジのものだけですが、
枝には、青い実から鮮やかなオレンジまで!
実りの過程のグラデーションを楽しめこともあります。


◆ひまわり(向日葵)[キク科]
夏を感じます!元気が出ます!
水揚げは、切り口に塩を擦り込むと良いそうです。

◆ニューサイラン[ユリ科]
葉先が剣のように尖っています。
今回は緑に縁が白のモノですが、赤みがかったものもあります。
サイズも小型のものから背丈を超えるものまで様々です。
丸めたり、ひねったり、折ったり、裂いたり・・・、いろいろな変化を引き出せます。


◆アスパラガス・スプレンゲリ[ユリ科]
「アスパラガス」はアスパラガス属の総称です。
「ルトジ」「天門冬」「ミリオクラダス」「スマイラックス」「アプライト」・・・
み〜んな、アスパラガスの仲間です。

◆花器
高さが56.5cm、直径は13cm程でしょうか。
素焼きのような肌合いです。


2012年6月25日月曜日

枝ものでいける(4-3)

「枝ものでいける」は、
枝ものだけを2種類以上使っていけます。

て、Nさんの作品です。

3種類の枝ものを使っています。
「ひめみずき」「ふさすぐり」「どうだんつつじ」です。
今回はどれも細身の枝振りです。
口の細い、背の高い花器を選びました。

「ひめみずき」と「どうだんつつじ」を左右に流れるように、
中央に赤い実のきれいな「ふさすぐり」を配しています。

 ◆正面から

 写真が下手でごめんなさい、
 ・・・実際はもう少し立体感がありました。

◆ひめみずき(姫水木)[マンサク科]
細くてやわらかな、弾力のある枝です。
マンサク科ですから、撓めがききます。
春先に淡い色の花をつけます。
花が終わり葉が茂る季節、枝が見えないくらい茂っています。
葉は平面的な印象で茂っている為、必要最小限に整理することも大切です。

◆あかふさすぐり(赤房酢塊)[ユキノシタ科]
透明感のある赤い実が宝石のようです。
濃い緑の葉と赤い実の対比もきれいです。
枝は撓めがききません。

◆どうだんつつじ(満天星/灯台躑躅)[ツツジ科]
やわらかな緑が清々しいです。
撓めがききます。

◆花器
高さが60cm程あります。
口の直径は6〜7cm程でしょうか、細めです。

2012年6月22日金曜日

面の構成/線の集合による(3-15)


(3-14)にひき続き、面を感じる作品です。
今回は、線の集合によって作った面で作品を構成します。

さて、Sさんの作品です。

花材は、「ふとい」と「ダリア」です。

同じ長さに切った「ふとい」を筏のように並べ、構成しています。
前後を同じ高さにして、中間に低い筏を立ててダリアの茎を隠しています。
「ふとい」の線の間からダリアが透けて見えて、涼しげです。
線の集合によってできている面だから出せる表情ですね。

大きな弧を描いた曲線が、作品にのびやかさをプラスしています。
3本のダリアの向きも作品を大きく見せる要素になっています。

横からの写真を撮り忘れてしまいましたが、奥行もあります。

 ◆正面から

◆ふとい(太藺)[カヤツリグサ科]
細くまっすぐ、背丈程にも伸びるそうです。
いつも、なんでこんなに細いのに「ふとい」という名前なんだろう、と思っていました。
・・・「太いイグサ」と言う意味で名付けられたそうです。そうなんだぁ。

中が海綿状でまっすぐなので、ワイヤーを通すことが容易です。
ワイヤーを入れる事で、ジグザグにするなど複雑な線に作り変える事も可能です。

◆ダリア[キク科
一重、八重、ポンポン咲き、花の大きさも様々です。
色も様々ですが、どれも透明感があります。

今回のものも、細い茎に大きな花が咲いています。
外側はやわらかなピンク、芯に近い部分は黄味を帯びています。
花びらの先が細くねじれているので、風に揺れているような印象です。

◆花器
「八つ橋」の名前がついています。
漆器です。
奥行は50cm程あります。
幅は広い所で30cm程、狭い所が20cm程です。

2012年6月10日日曜日

草月いけばな展(新宿髙島屋)


今日(10日/日曜日)から後期が始まりました。
私も出品しています。


今回のテーマは『咲くや言の葉』です。
用意された10の言葉からそれぞれが言葉を選び、いけばなで表現しています。

   私が選んだ言葉は、

       「みみをすます 
        きょうへとながれこむ
        あしたの
        まだきこえない
        おがわのせせらぎに
        みみをすます」

        谷川俊太郎「みみをすます」より
  
昨晩、前期出品作品の撤去が済んだ後にいけこみました。
今朝、少し手直しをして開場を迎えました。


           ◆正面から


花材は、「なつはぜ」「マリンブルー」「竹」です。
照明の影響でしょうか・・・、写真は少し黄味がかってしまいました。
「マリンブルー」席や背景は鮮やかなブルーです。


少し左から


             ◆少し右から

            ・・・お隣の作品とかぶっちゃいました。

前期の会場風景です。


お世話になっている石川龍先生は前期に出品していらっしゃいました。


             ◆石川龍先生の作品


最終日の朝のお手入れの時間、
たまたまこのコーナーが無人になっていたのでこの写真が撮れました。


12日火曜日までです。






2012年6月9日土曜日

葉ものでいける(4-2)


『葉ものでいける』は、
葉ものだけを2種類以上使用して作品を構成します。

花は豊富な色をもっていますが、
葉ものの色は、限られた範囲になります。
でも、だからこそ、微妙な緑の濃淡や質感の違いに心が動きます。

花ものに比べると、多少の力技には耐えてくれます。
丸めたり、折ったり、裂いたりして、形を変貌させることもできます。


さて、Nさんの作品です。

 ◆正面から


空気を包み込むようにゆったりと構成されています。

花材は「やつで」「オクラレルカ」「アレカやし」です。

「やつで」は、面の位置と向きに注意を払って、構成しています。

「オクラレルカ」は、曲線を描くように矯めた後、
何枚かは先端が上に向うように2段階で矯めています。
ゆったりと右後方に流れています。

「アレカやし」は、2本の茎の花器からの立ち上がりがきれいです。
重なる部分の葉を切り取って、葉が重なり合わないようにしています。
立ち上がった葉は左側をかなり切り取ったことにより、
軽やかに立ち上がった表情がよく出ています。 

Nさんのこだわりです。
切り取ることに意味をもたせたいと思ったそうです。

正面の丸い穴から挿し口が見えます。
オクラレルカを短く切って、外のオクラレルカと同じ方向に挿すことで、さりげなく隠しています。


やつで(八手)[ウコギ科]
狗の団扇ですね〜。
手のひらのような形と光沢のある濃い緑が特徴です。
長い柄は弾力があります。

◆オクラレルカ/チョウダイアイリス(長大アイリス)[アヤメ科]




葉の一枚いちまいは鋭い剣のような形です。
明るくやわらかな緑から、清潔感やみずみずしさを感じます。

◆アレカやし(アレカ椰子)[ヤシ
細い葉が左右均等に広がり、全体として丸みをもった大きな葉になっています。
細い葉の隙間から後方が透けて見えるのも魅力です。

◆花器
上に小さな穴が3つ、下に大きな穴が3つあります。
剣山を入れて使用します。
直径は約20cmです。

2012年6月7日木曜日

面の構成/葉ものなどを使って(3-14)


面を感じる作品を、植物の中で面の要素を強くもつ葉ものなどを使用して構成します。

さてSさんの作品です。

花材は「たにわたり」「モンステラ」「ひまわり」です。

花器も真っ平らな面をもつものを選んでいます。
本人は形状よりも色に惹かれたと話していました。


 ◆作品(正面から)

巨大な海藻のような「たにわたり」は丸めて立体感を出しています。
「ひまわり」は「たにわたり」の傾きに合せて並べています。
3本の花の向きに変化があり、作品全体にいきいきとした表情をもたせてくれています。
「モンステラ」の濃い緑が作品を引き締めてくれています。


 ◆作品(左斜めから)

立体感を感じます。
この角度も好きです。


◆たにわたり/シマオオタニワタリ(島大谷渡)[チャセンシダ科]
シダの仲間だからなのか水辺を連想して清涼感を感じます。
明るい緑色で独特の質感です。
葉のふちがフリルのように波打っている姿が軽やかです。


◆モンステラ/ホウライショウ(蓬萊蕉)[サトイモ科]
濃い緑で光沢があります。
今回のものは切れ込みだけになっていますが、穴の状態の場合もあります。
この切れ込みや穴がある様子から「怪物(モンスター)のような」、と命名されています。


ひまわり(向日葵)[キク科]
さんさんと降り注ぐ太陽を連想して、夏を感じます。
今回のものは黄色の花びらで中央の種の部分は茶ですが、
赤みがかった花びらをもつものや、ゴッホの向日葵の絵を連想するような
種の部分が黄色で盛り上がったものなど、いろいろな種類があります。

花ものの中では面的要素を持っています。



◆花器
21〜22cm四方で奥行は5.5cm・・・内側は更に狭いです。
真っ平らで本のような印象です。
結構ずっしり重いです。


2012年6月3日日曜日

自由花(ドラセナと)


Aさんの作品です。

花材は、「ドラセナ」「カンパニュラ」「とびしゃが」です。


◆ドラセナ「千年木」[リュウゼツラン科]
ドラセナの名は、リュウゼツラン科のリュウケツジュ属とセンネンボク属を含めた観葉植物の総称で使われている為たくさんの種類があります。
葉の幅がとても細いものもあれば、丸みのある葉が細い枝に枚ずつ付いているものも。
今回は緑が濃く、葉の大きさはどちらかというと小振りです。


◆カンパニュラ[キキョウ科]
みずみずしいパステルピンクの花が鈴なりです。
透明感があり涼を運んでくれます。
釣鐘に似た花の形もかわいらしく、見ているとやさしい気持ちになります。



◆とびしゃが[アヤメ科]    
アメリカシャガの、花が終わった後に子株を付けたものを、その姿からとびしゃがと呼ぶようになったそうです。
子株の下は平で葉のように見えますが、花茎です。

さて、作品です。

ドラセナは茎から外し、丸めたものを構成しています。
カンパニュラも合せ、花器からむくむくと湧き出ているようでおもしろいです。
とびしゃがは作品から飛び出すような印象を与えています。


  ◆作品


ちょっとしたいたずらですが・・・。
同じ形の色違い(黒)の花器を作品の前に置きました。
花器の色が変わる事で作品の印象が変わります。

葉の色が濃い緑の為、花器とドラセナが一体に見えます。
カンパニュラの色がより鮮やかに感じました。



◆花器
約25cm四方で、奥行は約4〜5cm程です。
中央が大きく空いており、華奢な印象です。

2012年6月1日金曜日

花ものでいける(4-1)

『花ものでいける』は、きれいな花を咲かせる草花だけを
2種類以上使って作品を構成します。

花ものは色に長けています。
茎は木の枝のように矯める(曲げる)ことはできませんが、
どこかを取り除く事により、おもしろい表情を引き出す事ができます。

花はそれぞれに、色はもちろん形状や質感が異なります。
茎もそれぞれの表情をもっています。

そんな花ものを組み合わせて、手を加える事によって、
新たな”おもしろい”が生まれます。

今回の花材は、「カンガルーポー」「オンシジウム」「てまりそう」です。

◆カンガルーポー[ハエモドルム科]
カンガルーポーはオーストラリア原産の園芸植物です。
カンガルーポー」という名は、動物のカンガルーの前脚から命名されています。
カンガルーもオーストラリアの代表的な動物ですね。
花が黄色で茎が赤いものをよく見ますが、今回は濃いピンクの花で茎は緑色です。

◆オンシジウム[ラン科]
オンシジウムだけで約400種あるそうです。
花弁や萼片に栗褐色の斑点があるものをよく見ます。
今回は斑点が無く全体に明るい黄色です。

◆てまり草[ナデシコ科]
なんとも不思議な形状です。
花弁などが丸く集合して、まるでマリモのようです。
葉はカーネーションに似通っていて、ナデシコ科である事に納得しました。

Nさんの作品です。
Nさんが最初に手にしたのは、やわらかな印象のオンシジウムです。

元もとの持ち味に手を加え、きれいな三角形が描き出されています。
花が付いている脇枝も切り取り、流れ落ちる姿を明確にしています。

次に手にしたのはカンガルーポーです。
向って左側に向って付いていた花を切り落として、
右側に流れる印象を強調しています。

最後にてまりそうを入れました。
オンシジウムとカンガルーポーは枝分かれした先に一輪一輪の花が付いていますが、
てまりそうは丸い塊です。
試行錯誤の結果、緑の大きな塊になりました。
花器から生まれた緑聖人のようです。
ユーモラスな姿に思わず笑みが出ました。

足元(花器からの立ち上がり)もとてもきれいですね。

 ◆正面から