Nさんの作品です。
テーマは『あらゆる角度からの視線を考える』です。
どの角度から見ても、視線を受止めることの出来る緊張感をもった作品を目指します。
見る角度によって表情が大きく変化する作品がおもしろいです。
さて、Nさんの作品はどうでしょうか。
◆正面
正面からは、すくっと立ち上がった「ばいかうつぎ」が印象的です。
左に流れる「ふとい」の直線と曲線の動きもおもしろいです。
曲線を描いている「ふとい」は元は真直ぐ、Nさんが丁寧に矯めて曲線にしました。
花材は、ばいかうつぎ、ふとい、しゃくやくです。
ばいかうつぎは、
漢字では「梅花空木」と書きます。
ユキノシタ科です。
字のごとく、花は梅の花に似ています。
枝は真直ぐな印象で、花や葉がまんべんなく付きます。
やわらかな緑に白い花が清潔な感じです。
ふといは、
漢字では「太藺」と書きます。
カヤツリグサ科です。
なんで、こんなに細いのに「ふとい」という名前なんでだろうと思っていましたが、名前の由来は、太い「イグサ」と言う意味だそうです。
真直ぐに見えても植物なので、1本1本に異なる表情があります。
しゃくやく、
漢字では芍薬と書きます。
ボタン科です。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と古くから美人の形容に用いられます。
大きく華麗な花です。
濃い赤紫色のものをよく見ますが、今回の芍薬は明るい赤です。
◆器
横巾25cm位、奥行4cm位の薄くて小型の器です。
剣山が入らないため、上のワイヤーメッシュが花留めです。
丸めてあるのですが、上段の穴と下段の穴の2ヵ所に茎が通ると留ります。
差し込める場所に制約があり、剣山程は自由になりません。
たまたま留った花にも、とてもおもしろい表情をもっている場合があります。
偶然のようでも、そこに表れているおもしろさを見逃さないことが大切です。
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