2012年10月21日日曜日

分解して再構成する(4-9)

植物はさまざまな要素をもっています。
枝や茎の部分、花や実の部分、葉の部分・・・。
枝や茎も太い部分、細い部分、枝分かれしている部分と、よく見ると違いがあります。
花も、咲ききっている部分とつぼみの部分を一枝につけていることもあります。

手にした花材をよく観察します。
その花材がもつ要素を見きわめて分解します。
分解したことによって、見え方が変わり発見できることもあるでしょう。
その発見を大切にして、いけばなの作品として再構成します。

さて、Sさんの作品です。

花材は「ふうせんとうわた」「あかなす」です。


        ◆正面から


それぞれを茎と実に分解し、横長の花器に合せて構成しています。

実を外して身軽になった二色の茎を、伸びやかに構成しています。

実を一ヵ所に集めることによって、色の効果が大きくあらわれています。
また実が集まることで、もこもこと沸き上がってくるような印象があります。



           ◆やや左から
          



           ◆やや右から



           ◆ふうせんとうわた(風船唐綿)[ガガイモ科]



やわらかい明るい緑の茎に、風船のような実をつけています。
色からも、空気が入っているような実も、軽やかな印象です。
日本には江戸時代の末に入ってきたそうです。


           ◆あかなす(赤茄子)[ナス科]




やわらかいこげ茶の茎に、ミニトマトのような赤い実をつけます。
ところどころ、塊になって実をつけます。

茎は撓めはききませんが、曲がりがあったり枝分かれをしている部分もあります。
実を落とすことで表れてくる線や、
枝の分け方で取り出せる線もあるでしょう。



他に「ゆきやなぎ」と「とるこききょう」を用意していました。
Sさんは、今回の作品には使わないことを選択しました。

             ◆ゆきやなぎ(雪柳)[バラ科]


             ◆トルコききょう[リンドウ科]



        ◆花器(陶器)

幅53.5cm、高さ6cm、幅7cmです。

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