2012年11月25日日曜日

剣山なしで水盤にいける(4-18)

剣山を使わずに水盤にいけます。

植物だけで自立させ、作品を構成します。
しっかりとした枝(茎)が3本あれば植物を立ち上げることはできます。
 足が3本あれば立つ・・・カメラの三脚がそうですね(^^)

作品の構成を考え、重心をコントロールします。

剣山を使用しないため、足元を隠す必要がありません。

さて、Nさんの作品です。

花材は「ぼけ」「ばら」です。

剣山がなくても「おもしろい」作品にしなくては!

「ぼけ」はもともとは真直ぐな印象の枝でした。
撓めたことで立てにくくなっているのですが、
水盤からの立ち上がりに面白味がでました。
「ばら」は葉を十分に整理して効果的です。

 ◆正面から

           
◆ぼけ(木瓜)[バラ科]


今回のものはサーモンピンクのようなやわらかい色で一重ですが、
もっと紅のもの、白いもの、八重、半八重のものもあります。

◆ばら(薔薇)[バラ科]


明るい黄色が葉の濃い緑でよく引き立っています。

花心の部分がハートに見えませんか?(^^)
          

2012年11月20日火曜日

実もの(4-7)

実のついている植物を「実もの」と呼びます。

秋は実ものが豊富な季節です。
山の木々も実をつけます。

食用となるような大きな実だけではなく、小さな実も稔っています。
うめもどき、むらさきしきぶ・・・。

実ものならでは魅力が引き立つように構成しましょう。

さて、Nさんの作品です。

花材は「うめもどき」「さんきらい」「やりげいとう」「てんもんどう」です。


うめもどきの上に向う広がりが伸びやかです。
てんもんどうとさんきらいのつるの部分が作り出している輪が、
作品にユーモラスな雰囲気をだしています。
下に向っているさんきらいもよく整理されています
           
 ◆正面から



うめもどき(梅擬)[モチノキ科]


光沢のある赤い実がとても美しい植物です。
庭木としても愛でられています。
「うめもどき」の名は、葉が梅の葉に似ているのでついたそうです。
葉がついている状態で出回ることが少ないため、
葉を見ることはできないかも・・。
ちなみに、梅は[バラ科]です。

枝は折れやすいので注意します。

           
◆さんきらい(山帰来)[ユリ科]


いけばなでは「さんきらい」と読んでいますが、
正式には「さるとりいばら」(猿採茨)で、日本に自生する植物です。
この季節に赤く色づいてきますから、クリスマスの装飾によく似合います。

6月頃は、緑の実が結婚式の装飾を彩っているのを目にします。


◆やりげいとう(槍鶏頭)[ヒユ科]


花序が細かく枝分かれし、鳥の羽のようにも見えます。
花をまとめて使用することで、作品に華やかさを添えてくれるようです。

◆てんもんどう(天門冬)[ユリ科]


「てんもんどう」の呼び名は中国名だそうです。
和名は「くさすぎかずら」、日本に自生している植物です。
葉のようすが杉の葉に似ていることから、その名がついたようです。
 ・・・確かに似ています。



2012年11月18日日曜日

単純化の極(4-8)

これ以上省略することができない、取り除くことができない、
という限界までとことん省き、
単純化してみることがテーマです。

さて、Sさんの作品です。

花材は「ぼけ」「きく」「ドラセナ」です。

用意されている花材の中からどれを使用するか・・・。
使用する花材選びも重要ですね!

花器は、水の波紋のような表情をもつガラス製を選択しました。

Sさんは、最初に3枚あるドラセナから1枚を選び、
すっくと挿しました。
ドラセナの波打っている葉から飛び出すように、
同色の菊を、葉を除いて合せています。
ぼけはよく撓めてあるので、短い一枝ですが勢いがあり、
とても力強い印象です。

 ◆正面から


 ◆左から
 
全体が前傾していることがわかります。

  
ぼけがしっかりと撓められています。
下の花材の写真とくらべると、どのくらい撓められたかがわかりますよ!


◆ぼけ(木瓜)[バラ科]


花数は多くはないですが、枝先に勢いのある花やつぼみがついています。
どこの部分を使うか・・・今日のテーマではとくに重要です。


◆きく(菊)[キク科]


蛍光グリーンの大きめの花は、細い花びらがくるっとカールしています。
サーモンピンクの中くらいの花は、半球状のポンポン咲きになっています。

Sさんはグリーンを選択しました。


◆ドラセナ[リュウゼツラン科]

花材として初めて見ました。
葉の色から、おそらく「ドラセナ・マッサンゲアナ」ではないかと・・・。
鉢物のからすると、葉が大きくしっかりとした厚みがあります。う〜ん(−−;)

しっかりとしている中にしなやかさもあり、とてもおもしろい花材だと思いました。

2012年11月13日火曜日

場面を想定して(4-19)

お祝い事や季節の行事の場を彩るために、必ずといってよいほど花を飾ります。
「だれかのため」「何かのため」に飾るいけばな。
場面を想定して、その場にふさわしい作品をいけます。

さて、Nさんの作品です。

花材は「ふうせんとうわた」「あかなす」「ダリア」「くじゃくそう」です。

Nさんは一児のパパ。
数年後に訪れる、愛する可愛いMちゃんの卒園式を想定していけました。

園から巣立つ子どもたちの、未来に向かって飛び立つようすが表れています。
子どもたちも楽しくなることでしょう。
Nさんの、Mちゃんの成長を喜び祝う気持ちが伝わります。
 ・・・その時になると、うれしくて泣いちゃうのかも(^^)

◆正面から(子ども目線)


ふうせんとうわた(風船唐綿)[ガガイモ科]


南アフリカ原産です。
日本には江戸時代の末に入ってきたそうですが、
初めて目にした人々は、不思議な実の形状に驚いたことでしょう。
葉は柳の葉に似ています。


 ◆あかなす(赤茄子)[ナス科]


今回の実は、まん丸ではなくかぼちゃのような線が入っています。
比較的かたまりで実がついています。

 ◆ダリア[キク科]


直径が10cm以上あります。
花びらは先にかけ薄い黄色からピンクに変化しています。
透明感があり、華やかな印象です。

今回想定した「卒園式の場」にふさわしいのではないでしょうか。


 ◆くじゃくそう(孔雀草)[キク科]



茎いっぱいに小さな花をつけます。
枝分かれした先端の花の下にも多数のつぼみがあります。
茎は細いのですが、ボリュームを出すことにも向いています。
白い花と葉の緑に清潔な印象をもちます。

ピンクや紫の花もあります。

 

2012年11月10日土曜日

実もの(4-7)

実のついている植物を「実もの」と呼びます。
秋は実ものが豊富な季節です。
栗、柿、りんご・・・、スーパーの果物売り場にも
さまざまな果実が並びます。
そのままいただくフルーツとしてはあまりなじみはないですが、
ざくろ、かりん、あけびなどの実も大きく稔ります。

実ものは、花や葉とは異なる魅力があります。
実ものならではの量感、形状や艶も魅力です。

「実もの」を使って作品をいけます。

さて、Sさんの作品です。

花材は「みかん」「ばらの実」「やりげいとう」です。

◆正面から


みかんが、上にむかうリズムをつくっています。
見え隠れする位置にあるみかんが、作品に厚みをもたせています。
残した葉も利いていますね。


◆みかん(蜜柑)[ミカン科]


今回のみかんは、食用で目にしているものよりやや小振りです。
新鮮で、実はつやがあり、葉も青々としています。
残念ながら葉は水揚げが悪いので、極力整理をして使用します。

みかんの仲間には、「ゆず」や「きんかん」、
サイズの大きな「なつみかん」「だいだい」などもあります。

ばらの実(薔薇)[バラ科]

のばらに比べると大きな実、一つ一つに存在感があります。
平らな球形をしています。
はまなすの実も同じ形状です。
・・・はまなすもバラ科だからですね。

 ◆やりげいとう(槍鶏頭)[ヒユ科]


花序が杉の葉のように細かく枝分かれしています。
鳥の羽のようにも見えます。
球状の花をもつ鶏冠鶏頭や久留米鶏頭と趣きが異なります。


◆おおばいぼた(大葉水蝋)[モクセイ科]


花材としては「ねずみもち」と読んでいます。
今回の実は若く緑色ですが、だんだんと黒くなります。

Sさんは、今回の作品には使用しないことを選択しました。

2012年11月6日火曜日

草月展(2012-日本橋髙島屋)

草月いけばな展(後期)に出品しました。
 11/1(木)〜3(土)前期・4(日)〜6(火)

初めて吊り作品にエントリーしました。

花材は「ねこやなぎ」です。

作品を制作するにあたってのコンセプトは、
「滝」勢いよく流れ落ちて弾ける水です。


           ◆正面から

          
             ◆やや左から











花屋さんから担いできました。
100本です!



作品では銀色に輝いていた芽は、最初は先端が赤い皮をつけています。
この状態のモノは、「あかめやなぎ/赤芽柳」とよびます。




皮を剥いて、テグスで引っ張って曲線にしました。
作品の下の部分のパーツです。
会場へはこの状態で搬入しました。
         

引っ張っているテグスが見えますか?




今までにいくつか「ねこやなぎ」の作品を発表しています。
すべて「刺繍糸」を使用し、糸にも重きを置いています。
まとめて掲載しまぁす。

            ◆2001年/神奈川支部展             

             ◆2001年/草月展

             ◆2003年/草月展
    この作品で新人賞をいただきました。

            ◆2004年/草月展


              ◆2005年/草月展


           ◆2006年/草月展


久しぶりに見ました。
懐かしいなぁ〜。